フリーランス1年目の確定申告！年の途中で独立した人が抑えるべきポイント

確定申告とは、毎年1年間に生じた所得に対して、納めるべき所得税を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額など過不足を精算する手続きです。不動産からの収入など、各種所得（必要経費を除いた）の合計もこれに含めて算出し、税務署に申告します。
この制度は自営業者やフリーランスにとって重要ですが、会社員にとっては年末調整を会社で行ってくれるため、身近なものではないかもしれません。

近年では、自宅にいながらオンラインで申請できる「e-Tax」が便利です。現在は申告をする8割以上の方が、この制度を利用しているという統計が国税庁より出ています。ITフリーランスであれば、おそらくほとんどの方が使われているのではないでしょうか。

対象の計算期間や確定申告期

申告する年の前年1月1日から12月31日の1年間の所得額が対象になります。たとえば令和7年に申告する場合は、令和6年の1月1日から12月31日分の所得額を計算することになります。
確定申告期は、基本的には2月16日から3月15日とされています。曜日などの影響で変動する可能性がありますので、毎年の申告期は国税庁のホームページで確認すると良いでしょう。

年度途中の独立は、2つの形式の所得を持つ

給与を受け取る形で働いている正社員、派遣社員、アルバイト、パートの方々は「給与所得」が所得の証明となります。一方フリーランスは個人事業主となり、所得は売上高から経費などを引いた差額の「事業所得」が所得の証明になります。つまり、それぞれ違う形式のものが発生するということです。
そのため独立初年度のみは、この「給与所得」と「事業所得」を持つイレギュラーな事態になるため、両方を計算する必要があります。

確定申告書を作成する際に、必要な書類が複数あります。ここでは独立初年度に気をつけるべき、源泉徴収票と控除証明書について解説していきます。

源泉徴収票

退職の際に会社から発行されるのが「源泉徴収票」です。これは1月から退職までの収入や納付した所得税額、社会保険料を記載した書類になります。給与所得者や年金受給者に発行され、収入や所得税のほか、社会保険料などもまとめて記載されています。
会社ごとに渡される時期は違いますが、原則として、会社側は退社後1ヶ月以内に源泉徴収票を交付することが法律で定められています。遅いと感じる場合は連絡して必ず受け取るようにしましょう。

それでも発行されない場合は「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、税務署が会社にはたらきかけ、源泉徴収票を交付するよう促してくれます。
書類の入手は、下記のサイト内にあるリンク先（申請書様式・記載要領）からダウンロードできます。提出方法は、e-Taxで申請するか、所轄の税務署に提出することもできます。給与支払明細書の写しを添付できれば、なお良いでしょう。

参考：源泉徴収票不交付の届出手続

自宅に源泉徴収票が見当たらないなど、受け取り後になくしてしまったら、前職に再発行を依頼するほかありません。会社に足を運べる方は、郵送用封筒と切手を担当の部署へ渡すのがマナーとして推奨されます。

控除証明書

控除証明書は、課税所得金額に控除が適用されると金額が下がり、それによって節税につながる重要な書類です。代表的なものでは

• 社会保険料控除
• 医療費控除
• 生命保険料控除
  

などがあります。

この項目では年度途中でフリーランスとして独立され、初年度の確定申告が必要になった方へ、行っておくべきことをご紹介します。

青色申告承認申請書の提出がおすすめ

ITフリーランスとして始めるなら、この「青色申告承認申請書」を税務署に提出して、青色申告で確定申告を行うことをおすすめします。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2パターンがありますが、青色申告には下記のメリットがあります。

• 65万円、55万円、10万円の青色申告特別控除（一定の要件あり）

• 赤字の繰越しが可能
  事業所得などで赤字が生じた場合、その損失額を翌年以降3年間繰り越すことができます。確定申告の対象となる年に発生した赤字と、将来の黒字を相殺することで、将来黒字となった年の税金を軽減することを純損失の繰越控除と呼びます。

• 減価償却の特例
  30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その費用を一括で経費として計上できるため、節税効果を得られます。ただし年間の上限が定められており、その額は300万円までです。

• 家族へ支払った給与が経費に計上
  生計を共にする配偶者や親族であれば、給与を支払った場合、その金額を経費として扱うことが可能です。その方が15歳以上であることなど条件があります。

• 貸倒引当金を経費に計上
  貸倒引当金とは売掛金・貸付金や未収入金などの事業上の債権が取引先の都合などにより、回収ができなくなることに備えて、あらかじめ損失額を計上しておく勘定科目です。こちらも経費として計上できます。

  
  

以上のように青色申告には多くのメリットがあります。
デメリットとしては青色申告承認申請書の提出をするには税務署に出向かなければならないという点や、白色申告では可能な簡易簿記ではなく、複式簿記での記帳が必要になることでしょう。

開業費について検討

開業費とは、開業する際に必要な物を購入したり、準備のために支払った費用のことです。例えばパソコンや、打ち合わせで乗車した電車の交通費などが該当します。開業前に購入した物であっても、準備のための物であれば、開業費となります。
この開業費はイレギュラーな扱いが可能で、初年度に全額を経費として計上することも、数年に渡って少しずつ経費にすることもできます。

ただし開業費として集計ができるのは、独立した初年度のみとなりますので、先送りはできません。忘れずに確定申告しておきましょう。

社会保険料などの控除分を漏れなく入れる

先ほど少し触れました控除に関してですが、独立後にご自身で支払いを済ませた国民年金保険料（もしくは前職から任意継続中の保険料）や、国民健康保険料は社会保険料控除として入れましょう。
コンビニなどで支払ったあとの控えは、確定申告書の作成時の計算をする際に役立ち、支払いを証明する重要なものとなります。大切に保管しておきましょう。

また会社員の頃に、給料から天引きされていた社会保険料については、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄がその金額となります。
控除分は節税になりますので、しっかり記載していきましょう。

また住宅ローンや生命保険料も控除の対象です。正社員であれば年末調整で、会社に手続きしてもらっていたものとなりますが、独立後はすべて自分で行う必要があります。こちらも控除分として記載していきましょう。

会計ソフトを使う

独立後の売上や経費などは、会計ソフトを使ってスムーズに間違いのない確定申告書を作成しましょう。
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独立して最初の年は、慣れない中で忙しい日々が続きます。確定申告書の作成もまた、そんな業務の一環となることでしょう。ギークスではITフリーランスの方へ、さまざまなサポートを企画しております。
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