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今、脱COBOLが進むワケ

作成日:2024/05/21 (火) TECH

今、脱COBOLが進むワケ

COBOL(コボル)とは、Common Business Oriented Languageの略で、1959年に開発されたビジネス向けのプログラミング言語です。その設計はその名前のとおり、業務処理に特化しており、銀行、保険、公共機関などで広く使用されてきました。独特の英語に近い構文が特徴で、ビジネスルールの表現に適しているため、長年にわたり企業の基幹システムで採用され続けています。この言語のシンプルな文法は、非技術者でも理解しやすいため、多くのユーザーに支持されています。


COBOLは、時代と共にレガシーな技術とみなされるようになりましたが、多くの企業が今もなおCOBOLベースのシステムを運用しているのも事実です。近年、このCOBOLベースのシステムから別の新しい言語への移行、いわゆる脱COBOL化が進み始めています。この記事では、COBOLの現状と未来について、技術的な観点と市場の動向を踏まえて解説します。

COBOLはどんなところで使われている?

COBOLはその名の通り、ビジネス向けに開発されたプログラミング言語です。金融機関、保険会社、公共機関、航空業界など主に大規模な組織で広く利用されています。これらの業界では、日々膨大な取引やデータ処理が必要とされ、COBOLはその需要に応えるために設計されました。特に銀行業界では、口座情報の管理、取引の処理、融資や預金に関わる業務など、基幹システムの多くがCOBOLで書かれています。公共機関でも、年金、福祉、税金の計算といった社会基盤を支えるシステムがCOBOLを用いて運用されています。
その堅牢性と信頼性の高さから、多くの企業や機関では今もなお、新しいシステムに置き換えるよりも、既存のCOBOLシステムを維持し続ける方針を選択しているのです。

COBOLがなぜ重宝されていたか

COBOLが長年にわたり重宝されてきた理由は、その設計哲学にあります。
ビジネスアプリケーションの開発に特化して設計されたこの言語は、複雑な数値計算や大量のデータ処理を効率的に扱う能力に優れています。例えば、COBOLは他の言語では誤差を生じやすい小数点計算も、2進化10進数を用いて誤差なく処理できることが大きな強みです。


また、COBOLの構文は英語に近いため、プログラマー初心者でも比較的容易に言語習得ができるだけでなく、ビジネスサイドの技術的な背景がない人々にも理解しやすいという特徴もあります。このCOBOL特有の分かりやすさは、ビジネスロジックを正確に反映したプログラムの開発を容易にしました。さらに、その規模が大きくなるほど、COBOLの効果が顕著に現れ、企業システムにおけるその地位を確かなものにしています。


またCOBOLは60年以上という長い歴史があり、まさに「枯れた技術」です。広く長く使われている技術であり、信頼性が非常に高く、安心して使用できます。
これらの特性が組み合わさることで、COBOLは企業の基幹業務を長期にわたって支える堅牢なシステムの構築を可能にし、その重要性を確立してきたと言えるでしょう。

COBOLの課題

COBOLは長年にわたり企業の基幹システムを支えてきましたが、現代の技術環境の変化とともに、いくつかの課題が浮き彫りになっています。


1.COBOLエンジニアの不足・高齢化
COBOLエンジニアの高齢化と後継者不足は、最も喫緊の課題の一つです。多くのベテランCOBOLエンジニアが退職を迎えている中、代わりになる若い世代は新しい技術や言語への関心が高く、今からCOBOLを習得しようとする人は極めて稀です。ロイターが調査した結果、COBOLエンジニアの平均年齢は45〜55歳*¹ということもわかっています。


参考:Thomson Reuters COBOLブルース

2.システムの維持・保守コストの増加
COBOLエンジニアの不足は、ベテランエンジニアの退職と引き継ぎの問題によるシステムのブラックボックス化と密接に関連しています。この状況は、更にCOBOLシステムの運用を属人的にし、維持・保守作業のための人件費を押し上げる要因になります。特に緊急の修正や更新が必要な場合、さらに高額なコストが発生することもあるでしょう。

3.マイグレーション(移行)の難しさ
COBOLから新しい技術への移行には、多くの課題が伴います。既存のCOBOLアプリケーションが持つ特有のビジネスロジックを新システムで再現するためには、広範なテストと調整が必要です。また、大量のデータを新しいシステムに移行する際には、データの整合性を保つことが非常に重要で、これは技術的にも時間的にも要求が厳しいプロセスです。さらに、ビジネスに不可欠なシステムの移行は、業務を停止せずに行う必要があり、計画的かつ慎重な実行が求められます。

注目された全銀ネットのシステム障害

これらの課題が浮き彫りになったのは、2023年10月10日から11日にかけて発生した全銀システムの障害ではないでしょうか。


この障害は、金融機関間の振込み取引に影響を与え、多くの銀行で顧客の振込み操作が正常に処理されないという事態に至りました。具体的には、10機関以上の銀行で、他行宛の振込みが当日中に処理できないという問題が発生したのです。
このシステム障害の直接的な原因は、中継コンピュータ(RC)のインデックステーブルが一部破損することで生じたと、後の調査結果で明らかになっています。中継コンピュータは、複数の金融機関間で取引データを仲介する重要な役割を持っており、この部分の破損が大規模な障害を引き起こす要因となったようです。インデックステーブルがなぜ破損したのかについて、32bitから64bitへのOSの変更が行われたにも関わらず、ワークメモリの必要量が十分に確保されておらず、オーバーしたデータが破壊されていたことが原因でした。


この障害は、1973年のシステム稼働開始以来、初めての大規模トラブルとされ、金融機関だけでなく、広範囲にわたる顧客にも大きな不便と不安をもたらしました。障害の影響で、多くの企業や個人が資金の移動に関して重大な遅延を経験し、特にビジネス取引においてはその影響が顕著でした。
結果としてCOBOLが直接的な原因ではありませんでしたが、COBOLやその他のレガシーシステムに依存している現在の金融システムの脆弱性を改めて浮き彫りにしました。この事件により、システムの近代化や更新の重要性が強調され、多くの金融機関で新しい技術への移行が検討され始めたのは間違いありません。


COBOLも含めたレガシーシステムを脱却しなくてはいけないという意識が改めて強く芽生えた出来事と言えるでしょう。

COBOLのマイグレーションが進まなかった理由

それではなぜここまで課題が多いレガシーなCOBOLから、新しいモダンな言語にマイグレーションが進まなかったのでしょうか。それにはいくつかの理由が考えられます。
まず、これらのレガシーシステムは多くの場合、特定のプラットフォームやハードウェアに深く依存しており、これが新しい技術への移行を一層複雑にしています。新しいシステムへの移行は、単にソフトウェアの書き換えだけでなく、ハードウェアの更新や互換性の確保など、多面的なアプローチが求められるため、導入のハードルが高くなります。ベテランCOBOLエンジニアも少なくなっている状態では更に難易度も上がっているでしょう。


さらにCOBOLシステムは通常、重要な財務情報や顧客データを扱うため、移行中に発生する可能性のあるデータの損失や誤りは、許されない大きなリスクを伴います。このため、企業はできる限りリスクを避けるために既存システムを維持し続けるという傾向にあります。
コスト的な観点からも、新しいシステムへの投資とその維持管理には膨大な費用が伴い、特に小規模な企業ではそのコストを負担することが困難です。


これらの要因により、COBOLからのマイグレーションは後回しにされがちで、なかなか重い腰が上がらず、時間が経つにつれて移行はさらに難しくなるという悪循環に陥っていたと考えられます。

COBOLからの切り替えが進んでいる企業事例

なかなかCOBOLからのマイグレーションが進まない中、このままではシステムが維持できなくなるという危機から抜け出すために、切り替えが進んでいる企業も増えてきています。
三菱重工業やパナソニックグループは長年運用してきたCOBOLからJavaへの移行が完了し、将来的なCOBOL技術者の不足やメンテナンス性という課題から脱することができました。また、伊藤忠食品などは2024年2月現時点でCOBOLからJavaへ刷新中という情報もあります。その他にも、さらに多くの中小企業が同様の移行を模索しており、業界全体の動向が変わりつつあります。


各社、少しずつCOBOLからの脱却が進んでいるようですが、これらの力になっているのは、COBOLから新しい言語へと移行するマイグレーションサービスを提供する企業が増えてきたことも要因の一つです。

今後の見通し

前述の通り、COBOLは1959年に登場して以来、金融業界、保険業界、公共機関などで広く利用されてきました。これらの業界では、巨大なトランザクション量を処理するための安定した環境が求められ、COBOLはその要求に長年応えてきた信頼性の高い言語です。しかし、技術の進化やCOBOLの課題もあり、需要は確実に減少しています。


市場の動向を見るとCOBOLプログラマーの需要は徐々に減少していますが、完全になくなるわけではありません。多くの企業では、過去数十年にわたって蓄積されたCOBOLベースのアプリケーションが現在も稼働しており、これら全てを短期間で置き換えることは現実的ではありません。金融機関や政府機関などではCOBOLが中核をなす場合が多く、これらの組織ではしばらくの間は既存システムの維持と稼働が続けられる可能性が高いでしょう。引き続き、COBOLスキルを持つ技術者が重要な存在です。


ただ、長い将来を見据えた場合、COBOLプログラマーは今のうちに他の技術スキルを身につけることも重要になってくるでしょう。例えば、COBOLからのマイグレーション先の言語として採用されやすい言語であるJavaをはじめ、Python、またはGoのような現代的な言語は、今現在も非常に需要がある言語で、スキルチェンジも見据えて身につけると良いでしょう。COBOLプログラマーとして希少価値を高めていくこともひとつの生存戦略ですが、その稀有なスキルに新しい技術を加えることで、ITエンジニアとして活躍できる期間と可能性をさらに広げることができます。


COBOLプログラマーが新旧の技術の橋渡し役を担うことで、その稀有なスキルはさらに価値を増すことになるでしょう。

COBOLの次のキャリアパスに不安があればギークスジョブへ

現代の技術環境は絶えず進化しており、ITエンジニアとして生き残るためには、市場の動向を常に追いかけ、新しいスキルを磨く必要があります。特にCOBOLエンジニアは、長年にわたり業界を支える重要な役割を果たしてきましたが、技術の変化とともに新たな挑戦も求められています。


COBOLの様々な現代の課題や状況により、COBOLエンジニアにとっては今後の見通しが不確実なものとなってきましたが、逆にこれが新たな可能性への扉を開くチャンスとも考えられます。ただ、その新たな可能性をどの方向へ向ければよいのか、自分は一体何のスキルを新たに磨けばよいのか、COBOLから次のキャリアパスのモデルケースはなにか、と迷ってはいないでしょうか?
実際にどのようなCOBOLエンジニアの次のキャリアプランがあるのか、今の自分は他言語のプロジェクトでも通用するのかなど、今後の将来において不安に思うことがあれば、まずはITフリーランス専門エージェントのギークスジョブにご相談ください。


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