ガバメントクラウドとは?仕組みやメリットについて解説!
政府が提唱するクラウド活用を前提とした大規模なIT基盤であるガバメントクラウドは、行政のデジタル化推進として注目されています。ガバメントクラウドは、中央政府や地方自治体などの公的機関のレガシーなシステムを幅広く改修し、新たなデジタルのフェーズへ一気に変革できる可能性を秘めています。行政システムの大転換は、ベンダーやエンジニアにとっては大きなビジネスチャンスとなり得ます。そこで、本記事ではガバメントクラウドの仕組みやメリットについて説明します。
ガバメントクラウドとは?
ガバメントクラウドとは、「政府共通のクラウドサービスの利用環境」のことです。ガバメントクラウドは「Gov-Cloud」や「政府クラウド」と呼ばれることもあり、ガバメントは文字通り「政府」を意味します。クラウドは、データやソフトウェアを自社のコンピュータではなく、インターネット経由で提供されるサーバーやストレージに保存・処理する仕組みを指します。
従来型の行政システムでは、各自治体が専用のシステムを発注してオンプレミスで構築していました。オンプレミス型は、企業が自前のデータセンターやサーバーで情報を管理する方式です。オンプレミス型のデメリットを解消し、数多くの行政システムを統合的に展開する役割を担うのがガバメントクラウドです。
ガバメントクラウドは2021年9月に発足したデジタル庁の重大事業の1つです。政府は2025年度末までにすべての地方自治体において、ガバメントクラウドを活用した業務システムを構築することを目指しています。
政府は広範なデータを効率的に管理し、オンライン手続きを推進するために大規模なITプラットフォームであるガバメントクラウドを導入しました。デジタル・ガバメント実行計画は政府主導で進行中であり、国や地方公共団体だけでなく、市民や民間企業にも影響を及ぼし、社会全体に変革をもたらす重要な取り組みです。
ガバメントクラウドの仕組み
ガバメントクラウドの仕組みは、国が共通のクラウド環境を準備・提供し、あらゆる行政機関で共通化・標準化されたシステムの管理・運用・保守を可能にします。例えば、地方自治体では、住民基本台帳・選挙人名簿管理・固定資産税・個人住民税・法人住民税・軽自動車税・国民健康保険・国民年金・障害者福祉・後期高齢者医療・介護保険・児童手当・生活保護・健康管理・就学・児童扶養手当・子ども子育て支援・戸籍・印鑑登録の19業務でシステムの標準化が進められています。
行政には様々なベンダーが入りシステム作りに取り組みますが、ガバメントクラウドに関するシステムは、政府が定めた標準仕様に遵守する形で構築する必要があります。そのため、どのベンダーがどの行政のシステムの構築を行っても互換性が高く、各システムの構築が連動性を帯びるようになります。
地方自治体は、ガバメントクラウド上にあるアプリケーションから必要なものを選択し、オンラインで基幹業務に活用します。これにより、自治体は独自に業務システムを開発する必要がなくなり、導入コストを抑制し、運用・保守の手間を削減できます。
つまり、ガバメントクラウドは、それぞれのベンダーや行政が一体となって、システムを常にアップデートできる優れた基盤となり得る仕組みなのです。全体として仕様が同じなので、効果の高いシステムを他の行政ですぐに導入でき、各行政のシステム間のデータのやり取りが可能になります。
ガバメントクラウドのメリット
政府がクラウドの基盤を用意するため、地方自治体の設置・運用・保守などのコストが大幅に軽減されます。オンプレミス型を導入している行政にとっては、クラウドのすべての恩恵を受けることができます。クラウドは地理的な制約が少なく、オンラインアクセスができるため、リモートワークや災害時の柔軟な対応が可能になります。
システムに関わる情報セキュリティ対策はガバメントクラウドが一括して行うため、規模の小さな行政でもセキュリティの高いシステムを利用できます。
ガバメントクラウドでは、住民基本台帳情報や税務情報など、機密性の高い情報を多く取り扱うため、ISMAPクラウドサービスリストへの登録に加え、不正アクセスや暗号化において最新、最高レベルの情報セキュリティ環境を確保できる等、より厳しい情報セキュリティ基準が設けられています。
また、ベンダーが共通基盤上で開発したアプリケーションを自治体が選択することで、ベンダー間の競争が生まれ、コスト削減や利便性、性能向上が期待できます。基盤を標準化し、すべての行政に統合させることで、日本の行政システム全体の底上げを図ることができます。
ガバメントクラウドは、どの行政のシステムに対しても政府が定めた標準仕様を遵守するため、行政に関わるシステム要件が明確になれば、要件に応じて必要な技術や専門知識が具体的に定まり、それに基づいて開発、運用、保守などの作業を担当する人材が明確になります。行政に特化したエンジニアの育成なども容易になり、行政のIT推進にさらに良い影響を与えることができます。
ガバメントクラウドの対象クラウドサービス一覧
ガバメントクラウドの対象クラウドサービスは、デジタル庁の「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に選定を受ける必要があります。現在は、Amazon Web Services(AWS)・Google Cloud・Microsoft Azure・Oracle Cloud Infrastructure・さくらクラウドの5社となっています。
政府が情報システム基盤としてクラウドサービスを利用する場合、「ISMAPクラウドサービスリスト」の登録先からサービスの選択を行うことが原則とされています。ISMAPとは、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program)」の略称で、日本政府が定めたクラウドサービスのセキュリティ評価制度を指します。
ガバメントクラウドの対象クラウドサービスに選定されるためには、不正アクセス防止やデータの暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティを確保する必要があります。また、他のクラウド業者とのシステム移設を可能にする技術仕様等の公開も条件の1つです。コスト面の基準では、システムの開発フェーズから、運用、廃棄までのサイクルを通じた費用が低廉である必要があります。
ガバメントクラウドは黎明期にあり、サービス認定の基準も緩和傾向にあります。例えば、2023年9月の応募では、1社のクラウドサービスで全て満たすべきだとしていた300以上の技術要件の一部が、複数のクラウドサービスなどを組み合わせたり、サードパーティーのソフトウェアを利用したりすることが認められました。
これまで応募できなかった国産クラウドサービスが、今後ガバメントクラウドへ参入することができれば、日本のIT企業には大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。行政の観点から言えば、海外のサービスに日本のデータを渡すことなく、国産のサービスを利用することで国が日本のIT産業の発展を支援することが可能になります。
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