IoTやるなら知っておこう!ハードウェアの守護神エンベデッドシステムとは

ここ数年で注目されるIT技術に深く関わるシステムとしてエンベデッドシステムがあります。
しかしエンベデッドシステムとは何なのか、組み込みシステムとはどういったものなのか、ご存じ無い方も多いのではないでしょうか。ここでは、エンベデッドシステムとはどういうものなのか説明し、3つの特徴をご紹介します。
エンベデッドシステムとは
エンベデットシステムは一体何を指すのでしょうか。
エンベデッドシステムとは、つまり組み込みシステムをさします。テレビ・冷蔵庫・電子レンジなどの家電製品・デジタルカメラ・携帯電話・カーナビ・ロボットなどの電子機器に組み込まれているコンピューターシステムのことです。
パソコンのような汎用的なコンピューターと違って、その機器専用のコンピューターシステムになります。そして入力信号に対して即座に応答するリアルタイム性や高い信頼性が要求されます。
また、小さな機器が多いのでメモリーやバッテリーは最小限しか搭載されていません。
特に昔はメモリーを節約するために、1行でも短いプログラムにすることや、消費電力を最低限にするなど、リソースを節約するために開発者は苦労してきました。
ただ、最近ではメモリーやバッテリーが小型化、低価格化されたのでリソースの節約は少し楽になっています。
知名度が低いエンベデッドシステム

「エンベデッドシステムって何ですか?」と、質問したことがある人もいらっしゃるかもしれません。最近ではごく身近でありながらエンベデッドシステムは、まだまだ知名度が低いものなのです。
情報処理試験のテストの分野にはたくさんの分野があります。例えば、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストはどんな技術者なのか、どんなテストなのかを容易に想像できると思います。しかし、エンベデッドシステムスペシャリストと聞いて同じように想像できている人は少ないのが現状です。
エンベデッドシステムの3つの特徴
エンベデッドシステムにはいくつかの特徴があります。その中の3つを紹介しましょう。
1.ハードウェアの知識が必要
エンベデッドシステムの技術者にはどのようなスキルが必要とされるのでしょうか?
情報処理技術者のエンベデッドシステムスペシャリスト用のテキストを開いてみます。
第1章: ハードウェア技術
第2章: ソフトウェア技術
第3章: ネットワークとセキュリティ
第4章: 開発関連技術
と続きます。最初にハードウェアの技術が必要なのです。
And回路とOr回路から始まり、パイプライン・DMA(Direct Memory Access)の仕組み・メモリ選択のIO・割り込みコントローラなどの説明が載っています。
ハードウェアを直接操作するのでアセンブラ言語でプログラムを書くこともあります。
ソフトウェアの開発を希望してIT系の会社に入ったのに、エンベデッドシステムの部署でハードウェアの開発の仕事を任されて戸惑ってしまったという人もいるかと思います。
しかし、仕事を通してハードウェア周辺の知識を習得できる機会として、これほど魅力的な機会はないと思います。
2.バグの発生が生死に関わることも
ソフトウェアやOSにはときどき不具合やセキュリティホールが見つかることがあります。すると、開発元からパッチが発行されたり、バージョンアップされたりします。またエンドユーザーに対しては「不具合を改善しましたのでバージョンアップしてください」と連絡がくるのを皆様も経験があると思います。ソフトウェアにおけるバグは、ユーザーの満足度の低下や、情報流出などの原因になるリスクがあります。
一方でエンベデッドシステムでは、一部のシステムを除いて更新プログラムをダウンロードして使用することはありません。不具合が見つかった場合はリコール対象となることもあり、製品を回収して交換しなくてはならないケースがあります。ソフトウェアにおけるバグとは違う側面で、バグの発生が事故を引き出し人の生死に関わる可能性もあるのです。
例えば、車のエンベットシステムであるブレーキシステムにバグがあり、数十万台のリコールがあった事例もあります。このバグは人の命を奪う可能性があります。このようにエンベットシステムのバグの対応には莫大な費用がかかることはもちろん、カスタマーからの信頼を失墜する可能性もあるのです。
3.リアルタイム性があるシステム
エンベデッドシステムにはリアルタイムな応答が必要とされます。例えば携帯電話でメールを書いている最中に電話がかかってきました。メールを書くプロセスのスレッドが終わるまで携帯電話のプロセスが動かなかったとしたら、電話に出損なってしまいます。電話がかかってきたら何秒か以内に呼び出し音を鳴らして電話に出られるようにしなくてはいけません。
そのために、エンベデッドシステムではリアルタイムOSが使用されます。(リアルタイムOSとは重要な処理を優先して行えるように作られたOSのこと)リアルタイムOSでは各処理をタスクに割り当てて優先度を設定しています。
例えば、メールを書くタスクが実行されている最中に携帯電話の受信タスクが起動されると、優先度が高い携帯電話のタスクがすぐに実行され、優先度が低いメールを書くタスクは一時停止されるのです。この仕組みによって、優先度が高いタスクは実行中の他のタスクの影響を受けることなく実行が終わるようになっているのです。
エンベデッドシステムの進化
以上、エンベデッドシステムの3つの特徴をお伝えしました。
また、冒頭でお話した最近の注目技術として、IoT(Internet of Things)があります。家電や情報機器などのモノをインターネットに接続して相互の情報交換を可能にすることで、遠隔操作などができます。
IoTにおけるモノにも、エンベデットシステムが必ず関わってきます。
ソフトとハードの融合という点で、今まで以上にハードの操作性や機能も向上していくため、その分リスクも多様化していくことが考えられます。ソフトウェア開発が注目受けやすいですが、エンベデットシステムが今、新たに進化が求められその役割の重要度は増すのではないでしょうか。
おわりに
ソフトウェアの開発とその進化には著しいものがあります。新たなサービスや顧客体験をもたらすことで、世の中に価値を生んでいると言えるでしょう。しかし、そのソフトウェアもハードウェアが無ければ力を発揮できないものがほとんどです。
エンベデットシステムと聞き慣れないワードかもしれませんが、IoTをはじめとした様々なソフトウェアの開発の発展と共に、日の目を浴びる日がくるかもしれません。
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