インボイス制度の概要 〜ITフリーランスのためのインボイス講座 #2〜
2023年10月1日より、ついにインボイス制度が施行されます。すでに登録受付も始まっており、ITフリーランスとしても準備を始める頃合いです。
この記事でまずはインボイス制度の概要を把握しましょう。そして、これからどのような準備が必要なのか。インボイス制度施行後には、どのような変化が想定されるのか。今後のスケジュールとあわせて解説していきます。
※ITフリーランス向け福利厚生プログラム「フリノベ」提携 税理士法人松本 監修
※本記事は2022年9月20日時点の内容です。最新情報は国税庁より公表されている内容をご確認ください
インボイス制度とは消費税の方式変更に関する税制改正のこと
インボイス制度とは正式には「適格請求書等保存方式」といい、消費税の仕入税額控除を受けるための方式変更に関する税制改正です。発注事業者が消費税の仕入税額控除を受けようとする場合にその根拠として、今後は適格請求書発行事業者が発行したインボイス(適格請求書)が必要になります。
適格請求書発行事業者と認定されるには、消費税の課税事業者であることが条件で、税務署への事前の届け出が必要です。ITフリーランスの多くは消費税納税義務が免除される免税事業者ですが、その場合は適格請求書発行事業者の認定がおりません。
政府はインボイス制度導入で、明瞭な納税システムを構築したい
さて政府としてはどのような背景や意図で、この方式変更を行うに至ったのでしょうか?
第一に、不正やミス防止の観点が考えられます。2010年から軽減税率が導入され、税率が10%と8%との2種類になり、納税額の計算が複雑になりました。そのため正確な税額計算と仕入額控除のために、税率ごとに正確に記載された請求書の重要性が高まったのです。
これまでは仕入税額控除を受けるには、帳簿を用意する「帳簿方式」でしたが、軽減税率制度が始まると同時に「区分記載請求書等保存方式」に変更され、そして2023年10月についに「インボイス方式」が制定されます。インボイス(適格請求書)には、区分記載請求書の内容に加え、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等が明記されるため、明瞭で透明性の高い消費税申告につながります。
第二に、益税の抑制が考えられます。消費税が導入された当初から小規模事業者救済のためにさまざまな緩和策がありましたが、現在に至るまでにその緩和策を段階的に縮小しています。現在も残る緩和策としては、課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税納税義務が免除される「事業者免税点制度」や、実際に支払った額と収める額に差額が生じる「簡易課税制度」などがあります。
これらの制度によって、小規模事業者は消費税の負担が軽減される以上に、合法的に税額分が利益となる「益税」が発生していました。政府としてはこの益税を減らし、きちんと税収を確保したい狙いがあると考えられます。
インボイス制度施行後は、発注事業者が適格請求書発行事業者への発注を優先するなど、免税事業者にとって事業運営が不利になることも想定されます。そうなったときに、免税事業者が自発的に課税事業者になり、益税の抑制や税収アップにつながると考えられているのです。
インボイス制度導入でITフリーランスは不利になるのか?
さきほど「インボイス制度施行後は、免税事業者にとって事業運営が不利になる」と記載しましたが、ITフリーランスにとってはどのような変化があるでしょうか?
繰り返しとなりますが、インボイス制度が施行されると、適格請求書発行事業者が発行したインボイス(適格請求書)がないと、発注事業者は仕入税額控除が受けられません。つまり課税売上高が1,000万円以下の免税事業者や、課税事業者でも適格請求書発行事業者の届け出をしていない事業者から仕入れを行った場合には、仕入税額控除が受けられず、仕入れ額が大きい事業者にとっては支払う消費税額が増える為大きな損失となります。
さてITフリーランスの場合、その多くは免税事業者です。クライアントにとって免税事業者は、仕入税額控除が受けられないので、なるべく仕入れの対象として避けたいと考える可能性も出てくるでしょう。
他の候補者と競り合いになったとき、適格請求書発行事業者への発注が優先されたり、業界全体としてクライアントが消費税額分の損失をカバーするためにITフリーランスへの仕入れ価格を下げたりする事態があってもおかしくありません。
ITフリーランスがこれから取るべき対応は?
インボイス制度導入によってITフリーランスの事業運営に影響がありそうですが、それは課税事業者か免税事業者かで影響度が変わってきます。
課税事業者である場合は、ITフリーランスとしての受注に大きな影響はないでしょう。すみやかに適格請求書発行事業者の届け出を行い、インボイス(適格請求書)が発行できるように準備を行ってください。
一方免税事業者の場合は、クライアントの対応や今後の業界構造の変化を踏まえて、慎重な判断が必要です。免税事業者であり続けるか、それとも適格請求書発行事業者となるため課税事業者となるほうが得策か、検討すべき重要項目と言えるでしょう。
インボイス制度開始までのスケジュールとは
インボイス制度は2023年10月1日から開始します。制度開始のタイミングで適格請求書発行事業者となるためには、施行日の半年前にあたる2023年3月31日までに登録申請書の提出が必要です。登録受付はすでに始まっているので、登録する場合は時間があるうちに手続きを行っておきましょう。
2021年10月1日 適格請求書発行事業者の登録受付開始
2023年3月31日 登録申請書提出期限(※2023年10月1日の制度導入のタイミングに合わせて適格請求書発行事業者になる場合)
2023年10月1日 インボイス制度開始
インボイス制度実施には経過措置がある
政府は、インボイス制度の施行で起こる劇的な変化を緩和するという意味合いで、施行後6年にわたって段階的な経過措置を設けています。免税事業者からの仕入れに関して、インボイス制度開始後3年間は80%、3年後から6年後までは50%の税額分が控除対象になります。
しかしこの経過措置も2029年10月には終了し、以降はインボイス制度が本格的に適応されることになります。この経過措置期間は免税事業者にとって、課税事業者になるべきかを見極める猶予期間であるとも捉えられますが、3年ごとに段階が変わっていきますので早めに検討しておいた方が良いのかもしれません。
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多くが免税事業者であるITフリーランスは、インボイス制度によって大きな影響を受ける職種のひとつと言えるでしょう。業界構造や市場価格の変化がどれほど起こるかは未知数ですが注意深く観察し、慎重な判断のうえで対策を講じなくてはなりません。
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