消費税の基礎知識 〜ITフリーランスのためのインボイス講座 #1〜
2023年10月から施行される適格請求書等保存方式、通称「インボイス制度」。
ITフリーランスにとっても会計処理や納税に深く関わるだけでなく、今後の仕事のあり方を左右するかもしれない重要なトピックです。この記事ではインボイス制度を正しく理解するために、ITフリーランスにまつわる消費税の取扱いについておさらいします。
※ITフリーランス向け福利厚生プログラム「フリノベ」提携 税理士法人松本 監修
※本記事は2022年9月14日時点の内容です。最新情報は国税庁より公表されている内容をご確認ください
ITフリーランスと消費税
ご存知のように消費税とは、商品・サービスの購入や取引に対して広く公平に課される税金です。一般消費者としての私たちは、買い物のたびにお店や企業といった事業者へ消費税額を預けるかたちで負担をしています。
その後、事業者が預かった消費税を必要な手続きを行って税務署へ納税するという仕組みとなっています。個人事業主であるITフリーランスも、同様の仕組みで事業者として消費税を納税する義務があります。
ただし、原則2年前の課税売上高が1,000万円以下の個人事業主は免税事業者となります。例えば2年前の売上が月額80万円、つまり年間売上が960万円(80万円×12ヶ月)の場合、課税売上高が1,000万円以下のため消費税の納税義務は免除されます。このように納税義務が免除される事業者を「免税事業者」、逆に課税売上高が1,000万円を超え、消費税納税義務がある事業者を「課税事業者」と呼びます。
現行の制度では免税事業者であっても、クライアントからは売上金額に消費税が含まれているという取り扱いですが、納税義務は免除されているので、その分は利益として計上できます。このように免税された分増えた利益を「益税」といいます。
では課税事業者の場合、消費税として売上の10%全額を納付する必要があるかというと、そうではありません。ITフリーランスとして事業を推進するにあたり、発生する経費や費用等についても消費税が含まれており、それを負担しています。この経費等の支払い時に負担した消費税分は、差し引いてよいことになっています。これを「仕入税額控除」と言います。
つまりITフリーランスとして課税事業者になった場合、以下の計算式で消費税納税額を決定します。
【消費税納税額=売上に係る消費税額−仕入れに係る消費税額】
この算出方法を、「本則課税方式」と言います。
しかしながら、ちょっとした備品購入や交通費などを含めて、全ての取引で消費税を逐一計算し記録するのは面倒ですよね。そこで売上が年間5,000万円以下の事業者は、消費税額の計算が簡単になる「簡易課税方式」を選択する事もできます。
(「簡易課税制度選択届出書」を一定の期日内に提出する必要があります。)
簡易課税方式とは「みなし仕入れ率」を用いて、税額計算を行う方法です。みなし仕入れ率は業種ごとに定められていますが、ITフリーランスの場合はサービス業に分類されるので50%です。つまり以下の式で納税額が求められます。
【消費税納税額=売上に係る消費税額−売上に係る消費税額の50%】
クライアントから預かった消費税をもとにした計算のため、実際に負担した税額に対して多かれ少なかれ乖離が発生します。ITフリーランスの場合は、一般的に費用や経費等の仕入金額が少ないため、簡易課税方式を選択することで節税につながることが多いでしょう。
ITフリーランスの消費税納付の流れ
消費税も所得税と同様に、確定申告を行うことで納付額が確定します。ITフリーランスの場合は1月1日から12月31日までの期間分を、翌年3月31日までに申告し納税するスケジュールです。納付方法は所得税と同様に、金融機関窓口やコンビニから納付する方法や預貯金口座からの振替納付、クレジットカードの納付などが選べます。
ちなみにクライアントからの支払いで源泉徴収をされている場合、基本的に消費税を含めた報酬の全額が源泉徴収の対象金額になっています。ただし税抜金額と消費税額を分けて明記している場合には、消費税額を除いた報酬金額のみを対象とすることができます。
ITフリーランスの消費税節税方法
ITフリーランスの場合、どのような消費税の節税方法があるでしょうか。
まずは免税事業者であれば消費税の納税義務はありませんので、課税売上高を1,000万円以下なるように仕事を調整する方法が考えられます。しかしインボイス制度導入後は、免税事業者でいることで事業に不利益になるかもしれません。
つぎに前述したとおり、ITフリーランスという職業の場合は簡易課税方式を選択することで節税につながる可能性は高いと言えます。ただし簡易課税方式を選択するには事前の届け出が必要で、かつ2年間変更ができません。仕入額が多くなった場合には逆に税負担額が増えてしまうことも想定されるので、慎重に判断しましょう。
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本記事ではITフリーランスにフォーカスして、消費税について解説してきました。いま現在は免税事業者として消費税納税を免除されているITフリーランスが多いのですが、2023年10月に控えたインボイス制度が施行されると、免税事業者であり続けることで不利益を被る可能性が一般的には考えられます。
このようにITフリーランスになると、自由な働き方が選択出来たり、報酬アップが見込めたりとメリットも多い反面、プログラミングや設計などの本業以外にも、契約手続きやお金の管理など、対応すべきタスクが増えてきます。
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※参考資料(本文・画像)
消費税のしくみ - 国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm
No.6501 納税義務の免除 - 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
No.6505 簡易課税制度 - 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A - 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html
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