ITコンサルとは？業務内容や必要スキル、将来性を解説

作成日：2024/09/26（木）最終更新日：2025/04/28（月）キャリア

近年DX推進により、ITコンサルタントという職業の注目度があがっています。そういった中でも、業務内容や必要なスキル、キャリアパスなどイメージがしにくいと思っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、ITコンサルタントの業務内容や必要なスキル、将来性について解説します。

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ITコンサルタントとは？

ITコンサルタント（ITコンサル）とは、クライアント（企業）が抱える課題をITの技術で解決する仕事です。クライアントが現在抱えている課題をヒアリングし、それに対してITコンサルタントは業務分析や改善提案、解決できるITツール導入の提案などを行います。業務内容については後述します。

ITコンサルタントとPM（プロジェクトマネージャー）の違い

ITコンサルタントと混同しやすい役職としてPM（プロジェクトマネージャー）が挙げられます。

ITコンサルタントは、企業が抱えている根本的な課題に対して、戦略やIT技術を用いた解決策を提案することが主な業務です。
一方でPMは、ITコンサルタントが提案してくれた解決方法をもとに開発計画を練り、プロジェクトチームの編成やプロジェクトの進行管理などを行う仕事です。ただし場合によってITコンサルタントがPMの仕事を兼任するケースもあります。

ITコンサルタントとシステムコンサルタントの違い

ITコンサルタントとシステムコンサルタントも混同されやすい職種です。
どちらもITを駆使し企業支援を行う専門家ですが、以下のように役割・専門領域が異なります。

ITコンサルタントは経営課題全体を俯瞰し、IT戦略を立案・実行して企業成長を支援します。
一方でシステムコンサルタントは、企業のシステム開発を支援する専門家です。要件定義から導入まで技術的な視点で関与し、効率的で信頼性の高いシステム構築を通じて、ビジネス目標達成をサポートします。

項目	ITコンサルタント	PM（プロジェクトマネージャー）	システムコンサルタント
役割	経営課題のITソリューションによる解決をサポート	プロジェクトの進行管理と成功	システム導入、開発までをサポート
業務範囲	経営戦略、業務プロセス改善、IT戦略策定	開発計画の立案、チーム編成、進行管理など	要件定義、設計、開発、テスト
視点	経営視点、顧客視点	プロジェクト視点、運用視点	システム視点、技術視点
求められるスキル	経営分析力、コミュニケーション能力、問題解決能力	プロジェクト管理能力、スケジュール管理能力、リーダーシップ	システム開発専門知識、技術力

ITコンサルタントの業務内容

ITコンサルタントの主な業務内容は以下のとおりです。

・現状のヒアリング
・改善提案
・システム導入と管理
・トレーニングとサポート

それぞれの業務内容を説明します。

現状のヒアリング

まずはクライアントの現状や抱えている課題についてじっくりヒアリングします。このタイミングで問題や悩みを十分に聞けていないと、後々問題が発生する恐れがあるので、聞き漏れがないように注意が必要です。

改善提案

ヒアリングした内容に基づき、改善策を伝えます。現在導入しているシステムの問題点や、必要に応じて新しいシステムの導入または構築、経営戦略なども提案します。

システム導入と管理

提案が通ったら、プロジェクトのメンバー編成や運用スケジュールなどのマネジメントを行います。ITコンサルタントによっては、ヒアリング、分析、提案までを専門としている人もいます。

ITコンサルタントに必要なスキル

ITコンサルタントに求められるスキルは以下のとおりです。

・技術的スキル（システム分析・プログラミング基礎）
・コミュニケーションスキル
・ビジネス理解力
・問題解決力
・論理的思考

それぞれのスキルについて説明します。

技術的スキル（システム分析・プログラミング基礎）

システム分析やプログラミングの基礎などの技術的スキルが求められます。
ITコンサルタントはその名のとおり、クライアントが抱える課題をITの技術を用いて解決に導く専門家です。また、実際にクライアントが使用しているシステムを操作して問題を発掘しなければならない場面もあります。
そのため、ITコンサルタントに技術的スキルは必須です。

コミュニケーションスキル

ITコンサルタントとして活躍するためには、コミュニケーションスキルは必須です。
ITコンサルタントがヒアリングする相手はおもに経営者や管理者、技術責任者などが対象です。経営層の求めることからユーザーのことまで幅広く考え、提案することが必要です。
クライアントが悩みを打ち明けても、コンサルタントが汲み取ってくれなかったり話が噛み合わなかったりするとクライアント側はフラストレーションが溜まってしまうでしょう。なるべく少ない情報で理解するスキルが必要です。

ビジネス理解

顧客のビジネスを理解する力は極めて重要です。
顧客のどこに課題があるのかを見つけるには、業務のプロセスを理解し、ビジネス全般の知識はもちろんのこと、専門的な業務知識も必要となります。分析力や、マーケティングに及ぶスキルも必須となり、幅広い知識力が求められます。

問題解決力

ITコンサルタントは臨機応変な対応が必要な場面も多い仕事です。そのため、何かトラブルが起きた際も動じず、問題をどのように解決すればいいのか冷静に判断できる問題解決力が求められます。

論理的思考力

論理的に物事を考えられる力も必要です。
論理的思考力とは、さまざまな物事の関係性を順序立てて整理できる力を指します。ITコンサルタントは企業が抱える問題の根源を見つけるために、これまでの経営計画や戦略などの情報を一から整理し客観的に分析していく必要があります。

ITコンサルタントの将来性

ITコンサルタントは将来性があるの？と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。結論から言うと、ITコンサルタントの将来性はかなり高いと考えられます。
将来性が高いと考えられる理由は以下のとおりです。

・キャリアパスの選択肢が広い
・DXによる需要が増える
・ITコンサルタントの役割に変化が訪れている
・経営層へのステップアップの可能性がある

それぞれの理由を見ていきましょう。

キャリアパスの選択肢が広い

ITコンサルタントはキャリアパスの選択肢がさまざまです。たとえば社内で昇進するならば、マネージャーやパートナーなどを目指せるでしょう。
また会社である程度、経験やスキルを身につけたら以下のような選択肢もあります。

・外資系のコンサルティングファームに転職する
・事業会社に転職する
・ほかの業界のコンサルタントを目指す

このようなことから、ITコンサルタントの将来性は高いと考えられます。

DXによる需要が増える

近年はDX化が推進されているため、ITコンサルタントの需要はかなり高まっています。
経済産業省の資料によると、とくに日本で使われているシステムは複雑化・ブラックボックス化しており、早急な対応が求められています。またITについて知識がない企業も沢山あり、ITコンサルタントの存在はますます需要が増えると考えられます。

ITコンサルタントの役割に変化が訪れている

ITコンサルタントの役割に変化が訪れている点も将来性に関係しています。かつてITコンサルタントはシステムの導入や業務効率化、ネットワークセキュリティの強化などをメインに行っていました。しかし現在は先述したとおり、企業のDX化推進やデータ分析、クラウドサービスの導入など業務の幅が広がっています。

経営層へのステップアップの可能性がある

ITコンサルタントは、経営層へのステップアップの可能性も期待できます。ITコンサルタントは技術力が求められるのはもちろんのこと、会社経営についても知識をつけなければなりません。
また、会社経営について知識があり、コミュニケーションスキルがある人ほど活躍できる職業と言っても過言ではないでしょう。
ITコンサルタントで培った知識を活かして、経営層へステップアップできる可能性もあるため、ITコンサルタントの将来性はかなり高いと考えられます。

取得しておくべき資格

ITコンサルタントを目指す場合、取得しておくべき資格がいくつかあります。今回は未経験者からITコンサルタントを目指す方向けの資格を3つ紹介します。

基本情報技術者
ITコーディネータ
CompTIA Ptoject+

基本情報技術者

ITコンサルタントを目指すなら、基礎固めとして外せない国家資格

「基本情報技術者試験」は独立行政法人（IPA）が主催している国家資格で、ITエンジニアの登竜門的存在として知られています。
この資格は、ITに関する基礎的な知識や技術力を証明するものです。試験内容は、情報技術全般の基礎知識から、システム開発、ネットワーク、データベース、セキュリティ、プロジェクトマネジメントなど多岐にわたります。

システム開発に携わってきた方にとっては、すでに実務で触れている知識も多いかもしれません。しかし、この試験に向けて改めて学び直すことで、知識の穴や理解の偏りを補完できるほか、コンサルタントとしての信頼感を与えることができます。試験概要は以下のとおりです。

試験区分	形式	時間	出題数	試験料
科目A	多肢選択式（四肢択一）ト	90分	60問	7,500円(税込)
科目B	多肢選択式	100分	20問	7,500円(税込)

基本情報技術者試験の合格率は例年20～30%程度で、しっかりとした準備が必要になる試験ですが、ITコンサルとして上流工程に関わるためには、広範な技術知識を持ち、クライアントに安心感を与えることが大切です。

基本情報技術者試験は「技術に強いコンサルタント」を目指す方にとって、価値のある資格と言えるでしょう。

ITコーディネータ

キャリアの視野を広げる「経営×IT」の知識

ITコーディネータは経済産業省が推進する資格です。
経営者の視点に立って情報技術(IT)を活用した経営革新を支援することを目的とした、実務寄りのコンサルティング資格です。
企業の経営課題を分析し、情報技術を駆使した解決策を提案・指導、そしてその実行できる人材の育成を目指しています。

ITコンサルタントは、クライアント企業の経営課題を解決するためにITを戦略的に活用する必要があります。したがって、経営的な視点を持つことが重要になります。
ITコーディネータの資格取得を通して、経営戦略策定、業務プロセス改善、財務分析など、経営に関する幅広い知識・スキルを習得できるため、「経営と技術の橋渡しができる人材」としての市場価値を高めることにつながるでしょう。

ITコーディネータの試験概要は以下のとおりです。

試験形式	時間	問題数	試験料
多岐選択問題	120分	100問	19,800円（税込）

CompTIA Ptoject+

プロジェクト管理の登竜門

CompTIA Project+は、特定の製品やサービスに偏らないプロジェクトマネジメントスキルを証明できる認定資格です。ITコンサルタントが担う現状分析から改善提案、システム導入、管理まで、プロジェクト成功に必要なスキルを学ぶことができるため、IT業界におけるマネジメント力をつけたい方にとっておすすめです。

費用や試験時間の概要は以下のとおりです。