Go言語のフレームワーク比較まとめ
Go言語(通称:Golang)はGoogleによって開発されたプログラミング言語で、2009年に公開されました。シンプルさ、効率性、安全性を重視しており、特に並列処理とネットワーク通信などの処理に長けており、近年開発者の間で注目を集めている言語のひとつです。
実際にGo言語を採用しているサービスは多岐にわたっており、開発したGoogleの各プロジェクトを始め、UberやDocker、Twitchなどにも採用され、その高いパフォーマンスを発揮しています。
しかし、その潜在能力を最大限に活かすためには、適切なフレームワークの選択が重要です。しっかりと開発するプロジェクトの要件に適したフレームワークを見極めなくてはいけません。やみくもに一番人気なフレームワークだからといって採用するのではなく、それぞれのフレームワークの特徴やメリット・デメリットを知ったうえで、選択するのが賢明です。
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Go言語のフレームワークとは?
Go言語は、高性能かつ読みやすいコードを容易に記述できるよう設計されたプログラミング言語ですが、Go言語のフレームワークは、これらの強みをさらに拡張し、効率的なアプリケーション開発をサポートします。
そもそもフレームワークとは、プログラムを開発する際の土台となるソフトウェアのセットのことです。プログラムの基本的な構造と、再利用可能なモジュール等が含まれており、開発者が一から全てを書く必要がなく、効率的にアプリケーションを構築できるように設計されています。
非常に単純なプログラムを書く場合を除いて、現代の開発では通常、フレームワークを利用することが一般的です。
ライブラリと何が違う?
フレームワークと似た言葉として、ライブラリがあります。この記事を読んでいる方は、両者の違いは頭の中では分かると思いますが、具体的に言葉で説明しようとするとなかなか難しいのではないでしょうか。
両者の違いで挙げられるのは主導権がどちらにあるのか、ということです。
フレームワークはアプリケーションの基本的な構造や骨組みを提供するものであり、開発者はそのフレームワークの「ルール」に従う必要があります。つまり主導権はフレームワーク側にあると言えます。
ライブラリは、特定の機能やタスクを実行するためのコードの集合であり、開発者は必要に応じてライブラリから関数やモジュールを呼び出し、それを自分のアプリケーションのコードに組み込みます。つまり、フレームワークとは逆に主導権は開発者側にあると言えます。
要するに、フレームワークは「どのように」アプリケーションを構築するかの大枠を決定するものであるのに対し、ライブラリは「何を」アプリケーションに追加するかに焦点を当てています。
フレームワークを使うことでどんなメリットがある?
フレームワークをプロジェクトに使用することには、多くのメリットがあります。
1, 効率の向上
フレームワークは独自の構造やパターンを提供しているため、開発者は基本的なセットアップや設計に時間をかける必要がありません。また、標準機能やモジュールを再利用することで、重複したコードを書く手間が省け、開発スピードが向上します。
2, 一貫性と標準化
フレームワークはベストプラクティスを導入することが多く、一貫したコードスタイルや設計パターンを強制します。これにより、コードの読みやすさや保守性が向上し、チーム内でコミュニケーションが取りやすくなります。
3, セキュリティ
多くのフレームワークは一般的なセキュリティリスク対策を既に組み込んでおり、基本的なセキュリティ問題を防ぐことができます。また、定期的なアップデートにしっかり対応すれば、新たなセキュリティの脆弱性にも迅速に対応できます。
4, スケーラビリティ
フレームワークはスケーラブルなアーキテクチャを提供しており、プロジェクトの成長に応じて容易に拡張しやすくなっていることが多いです。モジュール化された構造により、機能を独立して追加・修正することが簡単になるでしょう。
5, テストの容易性
多くのフレームワークは統合されたテストツールを提供しており、ユニットテストや統合テストの作成と実行が容易にできます。一貫したテストパターンに従うことで、コードの品質を高められます。
以上のように、フレームワークを使用することで、様々なメリットがあることがわかります。フレームワークのルールに沿って開発するだけで、誰でも分かりやすく、そして高品質なシステムが開発できるというのは大きなメリットです。
Go言語の案件一覧はこちらから
案件情報を見るおすすめのGo言語フレームワーク9選
Go言語の様々なフレームワークをそれぞれわかりやすく解説していきたいと思います。ご自身のプロジェクトに最適なGo言語のフレームワークを選定する際にお役立てください。
フレームワークの人気も時間の流れによって日々変わっていきますので、あくまで2024年6月時点でおすすめのものをご紹介します。
※GitHubスター数は2024年6月時点のものです。
Gin
GitHub:https://github.com/gin-gonic/gin
GitHubスター数:76.5K
シンプルさと超高速パフォーマンスを兼ね備えたフレームワーク
まず紹介したいフレームワークはGinです。
Ginは2014年にリリースされ、そのシンプルさと高性能さで急速に人気を集めました。
GoのWebフレームワークの中で最も有名であると言っても過言ではないでしょう。高性能で高速なルーティングを提供しており、高スループットが求められるアプリケーションに適しています。更にシンプルで直感的なAPI設計により、開発者が短期間で習得しやすいのも魅力でしょう。加えて、Ginは活発なコミュニティがあり、頻繁にアップデートも行われています。これらの理由からGinは現時点で最も安心して選択できるフレームワークの一つと言えます。
Fiber
GitHub:https://github.com/gofiber/fiber
GitHubスター数:32K
Express.jsに似たシンプルさと驚異的な速度を誇るフレームワーク
Fiberは比較的新しく、2020年2月にリリースされました。Fiberは特に速度を重視して設計されており、Node.jsのフレームワークであるExpress.jsにインスパイアされた直感的なAPIを提供するGo言語フレームワークです。リリース以来、そのシンプルなAPIと高速なパフォーマンスで急速に人気を集めました。最大の特徴は、内部的にゼロアロケーションルータを使用して効率的なリクエスト処理を実現している点です。ゼロアロケーションルータとはリクエストを処理する際に追加のメモリ確保を行わないルーティングシステムのことです。これにより、パフォーマンスを大幅に向上させ、ガベージコレクションの負荷を軽減します。加えて、活発なコミュニティと頻繁な更新もあり、リリースされてまだ日が浅いながらも信頼性の高いフレームワークとして多くの開発者に支持されています。
Beego
https://github.com/beego/beego
GitHubスター数:31.1K
豊富な機能と包括的なツールが嬉しいフレームワーク
Beegoは2012年にリリースされたフルスタックのフレームワークです。モデル・ビュー・コントローラー(MVC)アーキテクチャに基づいた設計と豊富な機能で多くの開発者に支持されています。Webアプリケーション開発に必要な機能をほぼ全て提供していると言っても過言ではありません。高い拡張性を持ち、大規模なWebアプリケーションや分散システムの構築にも対応しており、様々な種類のプロジェクトに適応できる強力なフレームワークです。もちろんコミュニティも活発で、定期的なアップデートもあるので安心です。
echo
GitHub:https://github.com/labstack/echo
GitHubスター数:28.9K
ミニマリスト設計と高性能を両立させた開発者に優しいフレームワーク
echoは2015年にリリースされた、高性能で機能豊富なGoのWebフレームワークです。高速なルーティングとミドルウェアのサポートにより、大規模なトラフィックに対応できるのが特徴です。また、認証やロギングなども柔軟に設定できるのも魅力です。シンプルなAPI設計で使いやすく、エラーハンドリングやバリデーション機能も充実しています。テンプレートエンジン、WebSocket、HTTP/2などの先進機能も備えており、多様なアプリケーションに適していると言えるでしょう。これらの特長もあり、echoは近年、信頼性の高い選択肢として広く利用されています。
go-zero
https://github.com/zeromicro/go-zero
GitHubスター数:28K
外部ライブラリに依存しない、高性能かつスケーラブルなフレームワーク
go-zeroは2019年にリリースされたフレームワークで、拡張性と生産性を重視して作られていて、そのシンプルさと強力な機能で注目を集めています。外部ライブラリに依存しない設計により、軽量かつ安全性の高いアプリケーションを構築することができます。高スループットと低レイテンシを実現するために最適化されており、特に大規模な分散システムやマイクロサービスアーキテクチャのプロジェクトに適しているでしょう。詳細なドキュメントが整備されており、また活発なコミュニティによるサポートもあるので、安心して選択できるフレームワークです。
Iris
https://github.com/kataras/iris
GitHubスター数:25K
直感的で美しいAPI設計、高速かつ拡張性に優れたフレームワーク
Irisは2016年にリリースされて以来、その高速なリクエスト処理と豊富な機能により、多くの開発者に支持されています。柔軟なルーティングシステム、ミドルウェア、テンプレートエンジン、認証、WebSocketサポート、セッション管理などを幅広く備えています。拡張性にも優れており、モジュール式のアーキテクチャで必要な機能をプラグインとして追加できるので、プロジェクトのニーズに応じたカスタマイズが可能です。また、詳細なドキュメントと多くのサンプルコードが提供されており、学習しやすいのも嬉しい点です。活発なコミュニティによるサポートもあり、信頼できるフレームワークのひとつです。
Kratos
https://github.com/go-kratos/kratos
GitHubスター数:22.6K
堅牢でモジュール化されたマイクロサービスに強いフレームワーク
Kratosは2019年に中国の大手企業Bilibiliによって開発・リリースされたマイクロサービスアーキテクチャ向けのフレームワークです。高い拡張性と柔軟性を持っていて、大規模な分散システムの構築に適しています。サービス間通信、負荷分散、サービスディスカバリなどのマイクロサービス開発に必要な機能を豊富に提供しており、プラグインアーキテクチャで柔軟な機能追加が可能です。自動コード生成ツールや詳細なドキュメント、活発なコミュニティサポートもあり、高性能なアプリケーションを効率的に開発できます。
Chi
https://github.com/go-chi/chi
GitHubスター数:17.5K
軽量で柔軟、シンプルにルーティングを実現するフレームワーク
Chiは2016年にリリースされた高速で柔軟なルーティングを提供する軽量なGo言語フレームワークです。設計思想としてはシンプルさと効率性を重視しており、使いやすいAPIと強力なミドルウェアのサポートが特徴です。特に、ネストされたルーティングやコンテキスト管理が優れており、大規模なプロジェクトでも効率的に使用できます。またChiは活発にメンテナンスされており、最新のGoのバージョンにも迅速に対応しているので安心です。
goa
https://github.com/goadesign/goa
GitHubスター数:5.5K
設計駆動開発を簡単にするための強力なフレームワーク
Goaは2015年にリリースされた設計駆動型開発(Design-Driven Development)をサポートする独自のフレームワークです。特にRESTful APIの設計と実装に適しています。API設計から実装までのプロセスを統合しており、APIの設計を記述するDSL(Domain-Specific Language)を提供します。設計図に基づいてコードを自動生成するため、設計と実装の一貫性を保ちながら効率的に開発を進めることができます。
Go言語でスキルアップしたければギークスジョブへ
Go言語は特に、実行速度の速さと並列処理に強いことで現在非常に人気があります。Go言語のニーズは高く、新たに採用する企業も続々と増えており、この流れはしばらく続くと考えられています。
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