エンジニア向け技術セミナー「CTO&VPoEが語る『家具のサブスク』ベンチャーの裏側」セミナーレポート!
ITフリーランスに特化した20年の支援実績を持つギークスでは、「Tech Valley(テックバレー)」と称し、エンジニアを対象とした最新の技術を学ぶ機会や知識を深めるセミナーを実施しています。
今回は、家具/家電サブスク「CLAS(クラス)」を展開する株式会社クラスのお二人にご登壇いただいた、イベントの内容をレポートします!
この記事の目次
開催の背景
「Tech Valley(テックバレー)」は「エンジニアの好奇心を満たす出会いが見つかる」をコンセプトに、企業・著名なエンジニア・CTOによる講演やパネルディスカッションなど、様々な形で開催しているイベントです。
今回は、「話題のサービスがどのように開発されたのかを知りたい」「スタートアップ企業において求められる経験やスキルについて知りたい」といったITフリーランスの方々の声をもとに、株式会社クラスに登壇を依頼しました。
登壇者紹介
山下 博巨氏取締役CTO
エンジニアだった叔父の影響を受け、中学生からプログラミングを開始。大学時代には個人でプログラミングの仕事やフリーソフトの制作を行う。
新卒で流通系Slerに入社してから4年ほど就業し、退職した後は、東京に上京してWebベンチャー企業に入社。業務システム会社、そしてクラスを創業。
鈴木 修氏VPoE
フリーエンジニアとしてキャリアをスタートし、基幹システム構築など様々な大規模開発のプロジェクトに参画。近年は証券会社で機械学習FW構築や経済指標予測AI開発なども経験している。株式会社クラスには2022年10月にVPoEとして入社。
ファシリテーターは、「Tech Valley」を推進するMakinoが担当しました。
セミナーの内容
プログラムは以下の2部構成で実施しました。
「家具のサブスク」とは?サービス運用上の課題と取り組み
株式会社クラスの主幹事業となる家具/家電サブスク「CLAS(クラス)」。いつでも交換・返却が可能・豊富な商品数・コーディネートの提案などの特徴が挙げられ、所有・廃棄をしないライフスタイルの提案によって、環境に優しく、持続可能な社会の実現を目指すビジネスモデルとして期待されています。
1万人を超える多くの利用者がおり、順調に利用者数を伸ばしているサービスですが、開発・運用にあたって家具/家電のサブスクならではの課題があったと言います。
例えば、扱う商材が家具ゆえに在庫の管理が物理的に大変なことです。テーブルの場合、倉庫にある時点では分解され、天板と脚、組み立てのネジはそれぞれ別に保管されているため、商品単位ではなくパーツ単位での管理が求められます。
サブスクというサービスモデル上、商品はいつか倉庫に戻ってきます。生産工場によるネジ穴の位置の違い、バージョンによる細かな仕様変更などを背景とした細かな管理も必要になり、結果的にリレーションはとても複雑になります。
会計上、貸し出しを開始したタイミングで原価償却が発生し、売上も貸し出し期間に合わせて日毎で計上する必要があること、サイズが大きいため、通常の配送では難しくごく一部の限られた業者に依頼しなければならないこと...など、現場にしか分からない課題が多く語られました。
ここまで挙げた課題に対して、エンジニアがそれぞれの業務を深く理解し、一つひとつ解決に導いていきました。しかし、その結果、「解決できないほどの課題はないが、複雑な業務や運用をすべて理解するのが無理な状況」となり、「開発組織として次のステップに進むためにVPoEが必要となった」と言います。
VPoEとは…「Vice President of Engineering」の略称で、エンジニアのマネジメントを統括する役職のこと
即戦力人材を獲得するため、ITフリーランスを活用
VPoEの鈴木氏も加わった後半部のトークセッション。
鈴木氏は、組織の拡大に歩調を合わせながら、チームの細分化や開発体制の見直しを行い、大局的に組織づくりを進めています。事業展開におけるフェーズごとに実施した開発組織の変遷を説明しながら、スタートアップ企業においてエンジニアが成長できる理由について、解説していただきました。
そもそも、事業成長を加速させるタイミングでは、システム開発を活発に進めていくため、エンジニアの採用は不可欠です。スキルの高いエンジニアをいかに獲得していくか。「このような成長期に加わったエンジニアのほとんどがITフリーランス」という話題も展開され、即戦力人材として、ITフリーランスが求められていることを現場感から伝えていただきました。
スタートアップ企業でエンジニアが成長できる理由
続いて、鈴木氏からはスタートアップ企業に参画することでエンジニアがどのように成長できるのか、お話いただきました。
「一般的に、業務委託として大型案件に参画すると、裁量が限られてしまう・決まった仕事を日々こなす、という環境になりがちですが、スタートアップ企業だと、業務委託だろうが正社員だろうがあまり関係はなく、『業務委託だからチャンスがない』というようなことは、少なくともクラスにおいては、一切ありませんでした。」
自身の成長のためにスタートアップという選択肢を視野に入れることは有効な手段だと言えるでしょう。
技術的なスキルに関しては、山下氏が回答し、会社の業種やフェーズで必要な技術は変わってくることや、そもそもテックのトレンド自体もあっという間に変わることから、特定のスキルという意味では特にないということが語られました。
エンジニア自身の市場価値を引き上げるためには、最新技術や話題のサービスに関する情報収集への感度の高さが、どれだけ重要なのかが分かります。
さいごに
セミナー終了後のアンケートでは、「サービス開発と運用のギャップなど、開発の悩みや赤裸々な話を聞くことができてよかった」「スタートアップでエンジニアが成長できる理由 や、学べるものを知ることができ、興味を持った」などの感想が寄せられました。
Tech Valleyでは、今後も継続してエンジニアを対象とした最新の技術を学ぶ機会や知識を深めるセミナーを実施していく予定です。引き続き、ITフリーランスの皆さまのキャリアサポートを行ってまいります。
▽ Tech ValleyページURL
https://geechs-job.com/techvalley